休薬期間など出血が起こらないはずの時にあるものを不正出血といい、ピルを使用している多くの人が予定外の出血を経験しています。
特にピルを服用し始めた3か月ほどは、ホルモンバランスの変化に身体が慣れないため、少量の出血が起こる可能性があります。
そこで今回は、ピル服用中の不正出血の原因や、飲み始めやシートの後半など不正出血が出るタイミングの原因、それらの対処方法についてまとめます。
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このページのもくじ
ピル服用中に不正出血が起こる原因
ピルを服用中に不正出血が出たからといって、焦ってアタフタする必要はありません。実はピルを服用していて不正出血を経験した人は非常に多いのです。しかし、不正出血は体に問題があるケースとそうでないケースもあります。まずは、不正出血の原因をきちんと知ることが大切です。
ピルによる不正出血のメカニズム
通常、生理周期に合わせて女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。これにより排卵や妊娠などの生理現象のコントロールがされています。ピルには人工で造られたこれらの女性ホルモンが配合されています。
卵胞ホルモンであるエストロゲンは子宮内膜を厚くする作用があります。(月経はこの子宮内膜が剥がれ落ちることで出血します)そして、黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用によって、出血しないように維持されているのです。
このエストロゲンとプロゲステロンのホルモンバランスが崩れたときに出血が出るということになります。
何らかの原因でエストロゲンの作用で厚くなった子宮内膜を維持するだけのプロゲステロンが不足したと考えられます。
低用量ピルで不正出血が多いのはどうして?
中用量ピルや高用量ピルはホルモン含量が多く出血もしやすい印象ですが、実は低用量ピルのほうが不正出血が起こりやすいと分かっています。
- 低用量ピルは中用量ピルなどに比べホルモン含量が少ないためです。配合されているホルモンが少ないということは、出血を抑えているプロゲステロンの量が少なく、中用量ピルに比べて不安定だからです。エストロゲンとプロゲステロンのバランスが比較的崩れやすいという訳です。
- もう1つの理由が、中用量ピルは子宮内膜の剥離が終わっている状態の生理5日目に服用します。対して低用量ピルを飲み始めは生理初日です。子宮内膜の剥離が十分に終わっていない状態で服用することが多いということです。本来剥がれ落ちる子宮内膜(経血)が、生理初日にピルを服用することで子宮に維持されケースがあります。そのため、飲み忘れ等で、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れた際に出血しやすい状況になります
ピルの種類が不正出血の原因になることも
低用量ピルには様々な種類があり、第1世代~第3世代の『世代』と1相性~3相性の『相性』でそれぞれエストロゲンとプロゲステロンのバランスに違いがあります。
エストロゲンとプロゲステロンのバランスで比較すると、一般的には第3世代のピルが最も不正出血が少ないと言えるでしょう。続いて第1世代、第2世代の順です。第2世代のピルが一番不正出血が多い可能性があります。
また、1シートすべての錠剤のホルモン量が同じである1相性よりも、ホルモン量が3段階で別れている3相性のピルのほうが不正出血は少ないとされています。3相性のピルは、生理初日に最も適したホルモン量で配合されているからです。
ピルで不正出血があっても避妊効果は続く?
もし、ピル服用中に不正出血があっても基本的には避妊効果が軽減されることはありません。
飲み忘れや飲む時間がかなりズレてしまった際は、避妊効果が継続できない可能性もありますので、性行為の際はコンドームを使用してください。
関連記事:ピルを飲み忘れた時の対処方法
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ピル服用中の不正出血の時期について
ピルを服用する人の多くが不正出血を体験しています。しかし、不正出血が起こるタイミングは人によって異なります。不正出血が起こるタイミングでの原因について解説します。
ピルの飲み始めに不正出血が出る原因
ピルを飲み始めた1シート目で25%(4人に1人)ほどの人が不正出血を経験すると言われています。その多くは、経血が続き生理がいつまでたっても終わらないという現象です。
その原因は、生理初日にピルを服用することで本来の月経の経血が途中で止められるため、本来排出される経血が子宮内にとどまってしまいます。しかし、本来経血で外に出ようとしていたため、圧力に押され少量ずつ出血してしまい、生理がずっと続いてしまうケースがあります。
また、通常よりも早く生理が終わるケースもあり、それはピルによるホルモンバランスの変化によって起こるものです。
多くの場合、1シートを終えるころにはホルモンバランスが安定してくるので、2シート目からの不正出血は少なくなることが多いです。
3シート目でも出血が多い場合は、ピルの種類の変更などの対応が必要になることも。そのケースは医師に相談しましょう。
1シートの後半に不正出血が表れる原因
ピルを飲みはじめではなく、1シートの終わりごろに不正出血が起こるケースがあります。それは、卵巣の眠りが浅く卵胞が成長し、エストロゲンを分泌するためです。
ピルを服用することでエストロゲンを体外から摂取しますが、卵胞が成長することで体内からもエストロゲンがより分泌されます。その結果として、プロゲステロンとのバランスが保てなくなり不正出血するケースがあります。
この場合も、一般的には2シート目から改善傾向になります。3シート目でも出血が続く場合は医師に相談しましょう。
その他ピル服用中に急に不正出血があることも
低用量ピルをすでに何シートか飲んでいるにもかかわらず、生理ではないタイミングで不正出血があるケースも。
その原因としては、ピルを飲み忘れたり、併用しているほかの薬があったりする場合や、体内のエストロゲンやプロゲステロンの分泌が急に少なくなることで、不正出血が起こることもあります。
気を付けたいのは、体内でプロゲステロンが十分に分泌されない「黄体機能不全」に陥っている場合は、ピルを飲んでも十分にプロゲステロンが補われず、ホルモンバランスが崩れることで子宮内膜が剥がれ落ちて不正出血が起きてしまうこともあります。
でも、出血の量が生理のときと同じくらい多い場合や、長期(1週間以上)続く場合は、念のためかかりつけの医師やピル処方のある病院に相談してみましょう
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不正出血・生理・排卵出血・着床出血の違い
不正出血というと少し怖いイメージがありますよね。女性の出血には様々な種類があり呼び名も異なります。ここで不正出血とその他の出血について簡単に解説します。
不正出血
不正出血 | 特徴 |
---|---|
血の色 | おりものに血が混じったような茶色や黒っぽい色、または鮮血など様々なケースがある。 |
出血量 | 個人差があり様々。少量から多量に。 |
痛み有無 | 下腹部に痛みを伴うことも。ない場合もある。 |
出血期間 | 1日から1週間以上の長期による |
不正出血とは、ホルモンバランスの崩れや異常による出血や、生理が終わっているのに性器からの出血の事を指します。
不正出血の種類には、子宮や卵巣、膣などに病気があり出血する器質性出血と、病気ではなくホルモンバランスが乱れる・崩れることで起きる機能性出血があります。
不正出血は珍しいことではなく、多くの女性が体験している出血です。おりものや生理不順同様に、ホルモンバランスの乱れから起こるケースが多く、一般的にはすぐに収まりますのであまり心配しなくて良い場合が多いです。
生理による出血
生理 | 特徴 |
---|---|
血の色 | ピンクや茶色、鮮血や黒っぽいケースがある |
出血量 | ほとんどの場合2日目にピークを迎える |
痛み有無 | 腹痛・下腹部痛・腰痛・頭痛・気分のムラなど |
出血期間 | 個人差はあるが5~7日程度 |
生理の出血は、子宮の内側を覆う膜(子宮内膜)が剥がれ落ちる現象によるものです。子宮内膜は生理前につれてだんだん厚みを増していき1㎝ほどにもなります。
受精卵が子宮内膜に付着せず妊娠しない場合に生理になり、子宮内膜の組織が溶けて剥がれ落ち出血が始まり、この出血を『経血』と呼びます。
排卵出血
排卵出血 | 特徴 |
---|---|
血の色 | 鮮血や薄い赤色、茶色っぽい、黒っぽいケースがある |
出血量 | 比較的少量 |
痛み有無 | 排卵通と言って下腹部に痛みが伴う場合がある |
出血期間 | 1日から3日程度 |
排卵出血とは排卵に伴う出血のことで、卵子が排卵のために卵巣から出てくる際に毛細血管を傷つけてしまうことや、排卵期にホルモンバランスが乱れて子宮内膜が剥がれてしまうことで起こる出血です。
着床出血
着床出血 | 特徴 |
---|---|
血の色 | 鮮血、おりものに少し血が混ざるような色、茶色っぽい |
出血量 | 比較的少量 |
痛み有無 | 下腹部に痛みを伴う場合がある |
出血期間 | 2日から7日程度で生理と間違えやすい |
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床するときに起こる出血です。受精卵が着床する際に、子宮内膜の組織を溶かすため出血が起こります。受精卵はおおよそ1週間かけて子宮内膜を溶かし、その中に入り込んでいきます。
その他の日常生活での出血
上記の出血のほかに、日常生活での出血もしばしばあります。
思春期や更年期、また普段の生活でのストレスや生活習慣の乱れからのホルモンバランスが乱れて出血するケースや、性行為中に子宮内の膜が傷つき出血するケース、流産や子宮外妊娠による出血等があります。
また、病気が原因での出血も考えられます。
- 子宮頸管炎
- 子宮頸管ポリープ
- 子宮腔部びらん
- 子宮内膜症
- 子宮体がん
- 子宮頸がん
- 子宮筋腫
出血量が目立って多い場合や、出血する期間が長い場合は、専門の医師に早めに相談しましょう
ピル服用中に出血が出たときの対処法
ピルを服用しているときに出血があっても、むやみに焦る必要はありません。軽い不正出血であればピルを長く使用しることでだんだん体に馴染んでくることが多いです。2~3ヵ月様子を見てみましょう。
個人の判断でピル服用を中止してしまうことで、余計に出血が多くなることや長引く原因になることも。出血の症状を見極めて対処することが大切です。
ピルを毎日決まった時間に服用する
低用量ピルは毎日決まった時間に飲む必要があります。服用間隔が24時間を超えることでホルモンバランスに乱れが生じ不正出血の原因になることがあります。
毎日決まった時間に飲めるように、ピル専用のタイマーを使用することや、朝食後など毎日一定時間に行うこととセットに飲む癖を着けることが大切です。
ピルの種類を変更してみる
不正出血の量が多い、または長く続く場合はピルが身体に合っていない可能性もあります。
人の生理現象は個人差があり、生理周期や生理痛の具合が人によって異なるように、同じピルを服用しても合う合わないが生じることがあります。
また、ピルの種類も豊富で、ホルモン量の違いや男性ホルモンが含まれるものなど様々で、不正出血が気になる方はかかりつけの医師やピル処方のある病院で相談することをおすすめします。
他の病気を疑ってみる
もし、不正出血が長く続く場合や出血量がかなり多い、痛みを伴う出血の場合は、もしかしたら違う病気の可能性も捨てきれません。
痛みを伴わない場合でも、不正出血が長く続く場合は放置することはやめましょう。ピルを止める場合や種類を変更する場合は必ず医師に相談しましょう。